お客様の快適性のため、効率的な業務進行のため、日々大切な役割を果たしている業務用エアコン。
しかし、業務用エアコンを長年使用していると、異臭や異音、空調効率の低下といった不具合が生じてくることがあります。そんな不具合が起こったとき、エアコンを買い替えるべきか修理を依頼するべきか、悩む方も少なくないでしょう。
業務用エアコンの買い替えはまとまった費用を必要としますが、結果的に修理よりもコストを抑えられるケースも少なくありません。
この記事では、業務用エアコンにおける買い替えタイミングの目安や寿命サイン、買い替えにおすすめの時期をくわしく解説します。ぜひ参考にしてください。
■業務用エアコンの買い替え時期は10年が目安
・一般的な買い替え時期の目安は10年程度
業務用エアコンと言ってもさまざまなタイプがあり、使用環境によっても異なりますが、一般的な寿命は10年程度が目安です。
管理者の代替わりやテナント変更などでエアコンの設置年が不明という場合には、エアコン本体もしくは室外機に貼られているシールに記載の製造年を確認しましょう。基本的に、シールには製造年とともに設計上の標準使用期間も明記されています。
シールがない場合は、メーカーと品番からおおよその設置年を調べることも可能です。
業務用エアコンの買い替えについては、オフィスであれば社員増加やOA機器入れ替えのタイミング、店舗であれば改装やレイアウト変更時など、他の設備を入れ替えるタイミングで検討するのがおすすめです。まとめて予算取りが行え、他の工事と一緒に依頼することで単独工事よりも費用を抑えられる可能性があります。
■業務用エアコンは買い替えと修理どちらがいい?
・10年以上経過している場合は買い替えがおすすめ
業務用エアコンに不具合が生じた際や劣化を感じた時、設置後10年を経過している場合には修理でなく買い替えをおすすめします。
その理由の一つとして、修理に必要な部品等が入手困難になる点が挙げられます。
業務用エアコンの「補修用性能部品」と言われる主要部品は、メーカーの保有期間が製造後9~10年とされているため、これを超えると入手困難になります。
また、20年以上前に設置された機器は「R22冷媒」と言われるガスが封入されている可能性が高い製品ですが、現在は環境保護の観点から全廃されています。ガスの入れ替えのみを行うことはできないため、修理は実質不可能でしょう。
さらに、10年以上使用しているエアコンはさまざまな箇所において劣化等の問題を抱えているケースも多く、一度修理しても新たな不具合が生じてしまうことが少なくありません。結果として買い替えと同程度のコストがかかってしまったり、空調停止期間が延び業務に大きな影響を与えてしまったりすることになります。
・10年以内の場合、まずはメーカー保証期間を確認
設置後10年に満たない業務エアコンの場合、不具合が生じた際にはまず保証期間をチェックしましょう。
メーカー保証は通常1年ですが、設置業者や販売店によっては長期保証を設けている場合も多くあります。「調査は無償、修理対応は有償」というケースも少なくありませんが、まずは保証内容を確認して対応してもらえる範囲を認識することが重要です。
また、10年未満の不具合であれば修理用部品も手に入りやすいため、買い替えよりも低コストで正常運転に戻せる可能性が高まります。
・コンプレッサー故障や冷媒ガス漏れなどは修理が高額に
さまざまな故障内容の中でも、買い替えの方がお得になる可能性が高いものとして「コンプレッサー故障」と「冷媒ガス漏れ」が挙げられます。
コンプレッサーは、冷媒の温度をコントロールする室外機の心臓部とも言える大変重要な部分です。室外機に異音や振動が生じたりする場合はコンプレッサーに不具合が起きている可能性が高く、修理代が高額になります。
一方、冷媒ガス漏れが起きると「空調の機器が悪い」と感じることが多くなります。冷媒ガス漏れの調査時には耐圧試験を行い、漏れを特定した際には溶接修理や冷媒管の再封入といった一連の作業が必要です。
上記のような「重修理」を実施する際には、数十万円レベルの修理代がかかるケースも少なくなくありません。修理代が交換費用を超えてしまうような場合には、買い替えを検討した方が良いでしょう。
■業務用エアコンの寿命サイン
ここからは、業務用エアコンが寿命に近づいたことを知らせるサインの事例を紹介します。設置年数とともに、買い替え時期の目安としてチェックするようにしましょう。
・効きが悪くなった
業務用エアコンの設置から年数が経ち、効きの悪さを感じ始めたら、寿命が近づいたことを示す一つのサインです。
ただし、設定温度が弱すぎたりエアコンの掃除不足があったりする可能性も大いに考えられます。
設定温度は節電に配慮し過ぎると快適性を失う場合もあります。適切な温度と風量を維持するよう心がけましょう。
また、本体のフィルターと室外機の放熱フィンは定期的なお手入れが必要です。ただし、放熱フィンは非常に薄い金属板のため変形しやすい部分でもあります。不安があれば、専門業者にクリーニングを依頼してメンテナンスしましょう。 上記の対策をしても効きの悪さを感じる場合や、10年以上使用している場合は買い替えがおすすめです。
・異音・異臭がする
異音や異臭はフィルターの目詰まりによっても生じやすい不具合ですが、掃除をしっかり行っていても発生してしまう場合は、本体内部での故障を疑った方が良いかもしれません。
一度専門業者にクリーニングを依頼し、それでも直らない場合はエアコンの使用期間を考慮したうえで買い替えを検討しましょう。
・水漏れが起きた
まれに、エアコン本体や室外機から水漏れが起こることがあります。
エアコン本体からの水漏れは、ドレン(排水管)の詰まりが原因であることが多く、該当箇所の掃除により対処できます。一方、室外機の水漏れは冷媒ガス漏れの可能性を示すサインです。冷媒管の劣化や損傷の程度にもよりますが、高額な修理費が必要になるケースもあるため、買い替えを検討すべきタイミングと言えるでしょう。
・ブレーカーが落ちる
エアコン使用時にブレーカーが落ちるのは、電気系統のトラブルが原因として考えられます。
エアコンを作動させるための配線や基盤、コンプレッサー等に劣化や損傷が生じて不具合が起きているケースが多く、そもそも修理対応が難しい場合もあります。
ブレーカーが落ちてしまうようになったら何か決定的な故障が起きていると捉え、買い替えの検討を進めるのがおすすめです。
■買い替えは4~5月がおすすめ
・夏前の買い替えがおすすめの理由とは?
業務用エアコンの買い替えは夏を迎える前の4~5月がおすすめです。
エアコンの不調は、夏場に冷房を付けたタイミングで発覚するケースが多く見られます。そのため、暑い日が増えてくる夏前の時期は点検や修理、買い替えの注文が殺到し、業者の対応が遅くなる可能性も。あらかじめ計画を立て、夏を迎える前に点検・修理・交換工事を完了させておくのがおすすめです。
また、本格的な暑さを迎える前の過ごしやすい時期であれば、空調の停止期間があっても業務に影響しにくいメリットがあります。
加えて、この時期であれば業務用エアコンをお値打ちに交換できる可能性も少なくありません。各メーカーは大体4月にモデルチェンジを行うため、同程度の性能を持ったエアコンでも前年度の製品が「型落ち品」として販売されます。最新機種にこだわらなければ、コストパフォーマンスに優れた機種を設置できる可能性が高まるでしょう。
・本格的な稼働の前にまずは試運転を
エアコンは、暖房時と冷房時では全く異なる仕組みで快適な温度を保ちます。そのため「秋から冬は正常に動いていたから夏も問題ない」と考えるのは少々危険。
エアコンが必須となるタイミングで故障を発見した場合、修理までに時間がかかり業務への影響が大きくなってしまいます。冷房を本格的に使う時期を迎える前に、試運転をして正常に稼働するかどうかをチェックすることが重要です。
冷房の試運転は、4~5月の少し気温が高い日に最低温度の設定で40分程度運転させましょう。しっかりと運転時間を確保することで、数分の運転では見抜けない不具合をチェックすることができます。
■まとめ
業務用エアコンの買い替えタイミングは10年程度が目安です。 設置年数のほか、コンプレッサー故障や冷媒ガス漏れが発生した際や、効きの悪さや異音・異臭を感じた際にも買い替えの検討をおすすめします。
フィルター掃除など定期的なお手入れも大切ですが、故障が起きる前に点検や試運転を行い、常にエアコンの状態を確認することが重要です。
近年の業務用エアコンは省エネ性能が向上し、買い替えによってランニングコストの大幅な削減も見込めます。長期的なコストプランニングを考慮しながら、買い替えや修理を検討していきましょう。
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